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アレルギー疾患におけるプレシジョン・メディシンの確立

Periostinはさまざまな炎症疾患で発現が増強しています。また、periostinは、他の細胞外マトリックスタンパク質に比べてはるかに定常状態での血中濃度が低く、病変部位から血液に移行しやすいなどの特徴を持っているため、炎症疾患に対するバイオマーカーとして適していることが判明しました。私たちは、periostinに対してさまざまなエピトープを持つモノクローナル抗体を作製して、periostin検出キットを体外診断薬として開発しています。

成人喘息患者でペリオスチン測定を行った結果、periostinが高くなる喘息の特徴として、(1)高齢発症、(2)好酸球増多、(3)FeNO高値、(4)アスピリン不耐性の合併、(5)慢性副鼻腔炎/嗅覚異常の合併、(6)呼吸機能低下があげられることがわかりました。これらの特徴を持った喘息患者は、2型炎症反応を示すとともに高度のリモデリングを示すことが知られています。これと合致して、ペリオスチン高値を示す患者は、吸入ステロイド抵抗性を示すとともに、2型炎症阻害薬の一つである抗IgE抗体に対する反応性がよいことを明らかにしました。今後、より大きな臨床研究により2型炎症阻害薬に対するコンパニオン診断薬としてのペリオスチン検出キットの検証を進めるとともに、成人喘息以外で小児喘息、好酸球性慢性副鼻腔炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎での治療反応性におけるペリオスチン検出キットの有用性を検討する予定です。これにより、アレルギー疾患におけるプレシジョン・メディシンの確立を目指していこうと考えています。

参考文献

  1. J Allergy Clin Immunol, vol.132, 305-312, 2013
  2. Ann Allergy Asthma Immunolvol.113, 314-320, 2014
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  4. J Allergy Clin Immunolin press
  5. J Allergy Clin Immunol, vol.190, 1449-1452, 2014
  6. Biomarker Insights, vol.8, 97-105, 2013
  7. Allergy, in press