第64回分子生命科学セミナー/大学院特別講義


演題

肺結核におけるInterleukin (IL)-17ファミリーサイトカインの役割


演者:松崎 吾郎
琉球大学熱帯生物圏研究センター 分子感染防御学分野 教授

日時:平成25年1月29日(火)18:00〜19:00
場所:研究棟4階2424室


要旨

 IL-17ファミリーのプロトタイプであるIL-17Aは、CD4+T細胞からの産生されるサイトカインとして同定され、産生T細胞はTh17と命名された。しかし、近年の研究から、自然免疫に関与するリンパ球群のうちγδT細胞や非T細胞であるinnate lymphoid cellもIL-17Aを産生することが明らかとなった。また、機能的にはIL-17Aは好中球の分化と遊走の制御を介して細胞外寄生性病原体に対する感染防御や自己免疫疾患の病態に関与することが報告されてきたが、一方、好中球に依存性が低い細胞内寄生性細菌に対する感染防御においてもIL-17Aが重要な役割を果たすことを我々は見出した。マウス結核菌肺感染モデルでは、感染局所でγδT細胞によりIL-17Aが産生され、それが成熟肉芽腫形成とその維持に重要な役割を果たしていた。また、IL-17Aと相同性の高いIL-17Fは、肺胞上皮細胞により恒常的に発現され、かつ肉芽腫形成初期にのみ重要な役割を果たすことが示唆された。今回のセミナーでは、我々の所見を参照しながら感染防御におけるIL-17ファミリーサイトカインの役割を考察したい。

 

セミナーに関する問い合わせ:
分子生命科学講座 原 博満 (内線2294)

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