第51回分子生命科学セミナー


演題

カンピロバクターから教わったギラン・バレー症候群の発症機序:
インフルエンザワクチン副作用を減らすためのヒント


演者:結城 伸泰
(独)国立病院機構 新潟病院 
神経内科 医長 / 臨床研究部 神経免疫学研究室 室長


日時:平成22年2月12日(金)17:30〜18:30
場所:3113室(臨床小講堂1)


要旨

 ギラン・バレー症候群は、風邪をひいたり、下痢をしたりした1、2週後に、四肢の筋力低下が始まり、1、2週にわたって進行する。ポリオ根絶を目前とした現在、急性発症の弛緩性運動麻痺を呈する疾患のなかでもっとも頻度が高く、人口10万人あたり年間2人の発症が推定されている。興味深いことに、その診断基準は、1976年米国で行われた豚インフルエンザ予防接種後に多発した患者の疫学調査のため緊急で作製された経緯がある。
 本セミナーでは、食中毒の主要な起因菌Campylobacter jejuniとヒト末梢神経に存在するGM1ガングリオシドとの分子相同性によってギラン・バレー症候群が発症することを明らかにした、研究の経緯を披露する。そのうえで、インフルエンザワクチンの副作用を減らすために調べておくべきことを提言したい。時間が許せば、治療の第一選択である免疫グロブリン製剤の作用機序とそれに基づいた非血液製剤の開発についても触れたい。

参考文献

Yuki N. Infectious origins of, and molecular mimicry in, Guillain-Barre and Fisher syndromes. Lancet Infect Dis 2001;1:29-37
Yuki N. Carbohydrate mimicry: a new paradigm of autoimmune diseases. Curr Opin Immunol 2005;17:577-582


セミナーに関する問い合わせ:分子生命科学講座 吉田 裕樹(内線2290)

 

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