Department of Biomolecular Sciences |
第48回分子生命科学セミナー/大学院特別講義演題 マイクロアレイを用いた小児固形腫瘍の解析とリスク分類システムの構築 がんの個別化医療の実現に向けて、腫瘍の正確な層別化ならびにリスク予測は適切な治療法選択につながる重要なステップである。千葉県がんセンター研究所では、小児がんのリスク予測のシステム構築を目指し、これまでに神経芽腫や肝芽腫について全国規模の組織バンクを整備し、既知予後因子の検査と、小児がん由来遺伝子を搭載した自家製マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析、ならびにアレイCGH法によるゲノムコピー数異常解析を行ってきた。その結果、神経芽腫、肝芽腫ともにゲノム異常のパターンと遺伝子発現プロファイルの両者により、詳細な腫瘍層別化とリスク予測が可能であることが示された。また、神経芽腫についてはアレイCGH解析からALKチロシンキナーゼの増幅や変異が新たなゲノム異常として見いだされ、今後の新しい治療標的としての可能性が期待された。本セミナーではこれら小児固形腫瘍について、これまでに得られた予後に関わるゲノムおよび遺伝子発現についての詳細と、それを応用した神経芽腫の予後予測ミニチップの開発などについてご紹介する。
セミナーに関する問い合わせ:分子生命科学講座 副島英伸(内線2260)
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