第43回分子生命科学セミナー/大学院特別講義

 

演題

細胞周期を制御する分裂期キナーゼAurora
―細胞周期の基礎と紡錘体制御について―


演者:浦野 健
島根大学医学部 病態生化学 教授



日時:平成21年4月3日(金)18:00〜19:00
場所:研究棟2424室


要旨

細胞周期の基礎を、動画をふんだんに利用し、初心者からがん研究者にいたるまでわかりやすく解説するとともに、我々が研究テーマとしている分裂期キナーゼAuroraによる紡錘体制御についてお話ししたい。
  ショウジョウバエや酵母において中心体成熟および染色体分離の調節タンパク質として同定されたプロテインキナ?ゼAuroraのヒトホモローグは現在,Aurora-A, -Bおよび-Cの3種類存在し,互いに非常に類似した一次構造を有している。
  ヒトAurora-Aは,様々ながん細胞においてDNA増幅や蛋白質の発現増強が認められており,また造腫瘍能を有することも明らかとなった。局在は中心体および近傍の紡錘体であり,中心体の成熟,染色体分配および紡錘体の制御を行っている。一方,ヒトAurora-Bは染色体上に存在し分裂後期になるとミッドゾーンへと移行する染色体パッセンジャータンパク質である。機能面では染色体凝縮に関与するヒストンH3の細胞分裂期キナーゼであり,動原体の機能制御や細胞質分裂に必須であることが報告されている。ヒトAurora-CもAurora-Bと同様に染色体パッセンジャータンパク質であるが、遺伝子改変マウスの解析からさらに精子形成において重要であることが示された。
  ヒトAurora familyが細胞周期、特に分裂期をどのように制御しているのか?最近同定したAuroraファミリーの新規基質、微小管プラス端集積因子(+TIPs)に属するEBファミリーのホモログのひとつであるEB3のAurora-AおよびBによるリン酸化の意義など最近の知見も交え、お話ししたい。





セミナーに関する問い合わせ:呼吸器内科 林 真一郎
分子生命科学講座 副島 英伸

 

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