第37回分子生命科学セミナー/大学院特別講義

今回、 BMB2007 のワークショップ、 PDCD4 とがん、にスピーカーとして来日される下記のお二人に「がんの浸潤および転移のメカニズム」についてセミナーをお願いしました。

日時:平成19年12月17日(月)13:30〜15:00
場所:研究棟セミナー室(2424)


演題 I

脳特異的転移XenograftモデルにおけるNotchシグナルの活性化
(13:30-14:15)


演者:ウンヤン パク MD, PhD
ソウル大学医学部
生化学/分子生物学 准教授


要旨

 ヒトMDA-MB-435株を用いて、Xenograftにより脳特異的転移を起こすVariantsを分離した。マイクロアレイにより発現遺伝子を分析した結果、Variantsでは2016種の遺伝子発現に変化が見られた。その中で特にNotchシグナルシステムが活性化されていた。さらに、Notchシグナルの不活性化が浸潤を阻害することから、Notchシグナル経路ががんの脳転移に重要な役割を果たしていると考えられる。


 

演題 II

PDCD4と大腸がんの浸潤
(14:15-15:00)


演者:シンシェン ヤン MD, PhD
ケンタッキー大学医学部 助教授


要旨

 PDCD4 はがんのPromotionおよびProgression両過程を阻害するがん抑制遺伝子であることが培養系と、Transgenic mouseで証明されており、がん細胞では多くの場合発現が抑制されている。shRNAにより大腸がん株細胞のPDCD4をノックダウンすると、浸潤が促進されたが、このとき、E-cadherinの発現が抑制され、β−Cateninが核に移行してβ−Catenin/T cell factor 4(Tcf4) dependentな転写が促進された。それと同時にAP-1活性も増加した。両転写因子はMMP-7等、浸潤を促進する遺伝子の転写因子であることが知られており、PDCD4の減少は両転写因子を活性化して、浸潤を引き起こすと考えられる。


世話人:藤本 一真(内線2351)、松橋 幸子(2362)

 

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