Department of Biomolecular Sciences |
第33回分子生命科学セミナー/大学院特別講義演題 1.好塩基球が主役を演じる新たな慢性アレルギー炎症誘導機構
1.好塩基球は末梢血白血球のわずか0.5%を占めるに過ぎない最少血球細胞集団であり、マスト細胞との類似点も多いことから、「血中循環型マスト細胞」と皮肉られるなど、マスト細胞の陰に隠れた脇役としてほとんど注目されることがなかった。私たちは、遺伝子改変モデルマウスを用いた解析から、マスト細胞ならびにT細胞の非存在下においても、好塩基球がIgE依存性に慢性アレルギー炎症を誘導することを見いだした。この発見は、好塩基球が生体内においてマスト細胞とは異なるユニークな役割を果たしていることを初めて証明したものである。 2.高IgE症候群は、肺炎や皮膚膿瘍など反復する感染とアトピー性皮膚炎、高IgE血症を特徴とするユニークな原発性免疫不全症である。これまでその原因は全く不明であったが、最近私たちは、高 IgE症候群患者の解析からJakファミリーキナーゼのひとつである Tyk2の遺伝子変異を同定した。Tyk2欠損により、I型インターフェロン、IL-6, IL-10, IL-12, IL-23など多数のサイトカインシグナル伝達の障害があり、その結果、高IgE症候群の複雑な臨床症状がひきおこされることが明らかとなった。 参考文献 セミナーに関する問い合わせ:分子生命科学・出原(内線2261)
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