第32回分子生命科学セミナー/大学院特別講義

演題:バイオ・医学の世界を変える小さなRNAの発見と応用

演者:多比良 和誠
東京大学大学院 工学系研究科 化学生命工学専攻
(独) 産業技術総合研究所ジーンファンクション研究センター

日時:平成17年12月6日(火)17:30〜18:30
場所:臨床小講堂2 (3114)

要旨

 生命起源の本質に関わるRNA分子には、進化の過程で忘却された機能が秘められている。我々はその潜在能力を引き出し、新規な機能性RNA分子を創造することを目指している。機能性RNA分子はタンパク質と同様の生化学的機能とDNAと同様の遺伝情報を兼ね備えており、RNAを塩基配列特異的に切断するRNA酵素リボザイムや、最近注目を集めている小さなRNA (non-codingのmicroRNAやsiRNA) がその代表例である。我々はハンマーヘッド型リボザイムの触媒作用メカニズムの研究からスタートし、そこで得られた基礎的知見を基に分子生物学分野、さらには医療、製薬までを含めた広範囲な研究を進めている。特に最近は、小さなRNAに着目し、効率良く遺伝子発現抑制を行えるsiRNA発現ベクターの開発、ヒトの全遺伝子に対するsiRNAライブラリーの作製、さらにmicroRNAの機能解析とそれに基づく神経細胞分化制御などを試みている。これらのライブラリーの有効性について概説する。

セミナーに関する問い合わせ:分子生命科学分子遺伝学分野 副島英伸(内線2264)(佐賀大学理事・副学長 向井常博)

 

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