Department of Biomolecular Sciences |
第31回分子生命科学セミナー/大学院特別講義演題:IgM/IgA受容体の同定とその機能 免疫学研究の歴史は200年余り前のジェンナーによる牛痘ワクチンの実験的開発に端を発する。しかしその現象の理解は、それからおよそ100年を経た
1900年頃の北里、ベーリング、コッホなどによる病原微生物とそれに対する抗毒素(抗体)の存在の発見などを契機として始まることになった。これ以降今日まで、様々な病原体の同定に加えて、IgG, IgA, IgE, IgD, IgMの5つの抗体アイソタイプの発見とそれぞれの構造が解明され、さらに免疫細胞に発現するIgG, IgA, IgEに対する受容体の発見につながった。その結果、それぞれの抗体アイソタイプは異なる独自の機能を有することがわかり、IgGは抗原を捕捉した後IgG受容体に結合することによって炎症、貪食、細胞傷害を、IgAはIgA受容体に結合することによって貪食や粘膜免疫を、IgEはIgE受容体に結合することによってアレルギーなどを誘導することが分子レベルで明らかにされてきた。残された大きな課題の一つはIgM 抗体が免疫応答にどのような役割を担っているかということである。
セミナーに関する問い合わせ:分子生命科学 出原(内線2261)
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