Department of Biomolecular Sciences |
第75回分子生命科学セミナー/大学院特別講義
泌尿器がんの基礎と臨床 超高齢化社会にある本邦は3人に1人が癌で亡くなる時代となり、泌尿器がんも増加傾向が著しい。本セミナーでは特に腎がんと前立腺がんを中心に診断と治療の概要について基礎と臨床の両面から解説する。腎がんは近年検診などで発見される、いわゆる偶発腫瘍の頻度が高くなり、結果として小径腎がんが増加している。治療は手術治療が基本であるが、腎摘除術、腎部分切除術が主として腹腔鏡を用いて行われる。転移を有する進行腎がんには現在様々な分子標的治療薬が使用され効果をあげている。前立腺がんは腫瘍マーカーのPSAを用いた検査の普及により、早期がんが多くを占めるようになった。これに対しては手術、放射線治療など様々な治療法があり、その適切な選択が重要である。また転移進行がんにはホルモン療法が施行され、一定の効果が得られるが、多くの場合やがて治療反応性が低下し、去勢抵抗性前立腺がんへと進行する。最近これに対する新規治療薬が登場し、予後の改善が期待されている。また、診断・治療に有用なバイオマーカーの研究が長年行われてきたが、まだ十分に検証されたものが無く、今後の課題の1つである。
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