Department of Biomolecular Sciences |
第67回分子生命科学セミナー/大学院特別講義
長崎大学創薬研究教育センターにおけるアカデミア創薬 長崎大学創薬研究教育センターでは、文部科学省創薬プラットフォーム事業を行っており、アカデミアシーズからの創薬を目指している。本センターでは、創薬シーズからのアッセイ系構築支援、インシリコスクリーニング、ハイスループットスクリーニング、ヒット化合物最適化合成支援、安全薬理試験、探索医療への展開支援等を行っている。本センターは、アカデミア創薬拠点として全国から創薬シーズの募集を行っており、感染症創薬、放射線創薬をはじめとした種々の創薬テーマの展開が可能になっている。本セミナーでは、創薬研究教育センターの紹介と、実際に行われている創薬プロジェクトの紹介をしたい。本センターの一番の特徴は、ハイスループットスクリーニングを行うだけでなく、スーパーコンピューターを用いたインシリコスクリーニングも可能なことである。このようなスパコン創薬に関しても学外からのシーズ受け入れを行っている。また、本センターでの創薬の例として、低分子化合物を用いたがん免疫療法の開発がある。ヒトγδ型T細胞は、結核菌、マラリア原虫などの産生する低分子化合物を認識し、感染細胞やがん細胞を効率的に傷害する。合成低分子化合物ライブラリーをスクリーニングした結果、候補化合物が得られ、腎臓がん肺転移症例に対して、免疫細胞療法を行った。その結果、11症例中、CR1症例、SD5症例が得られた。このように、本センターには、アカデミアで見いだされた創薬シーズをインシリコスクリーニングやハイスループットスクリーニングに供し、探索医療にまで繋げることのできるインフラが整備されており、学外からの積極的な活用が望まれている。
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