第60回分子生命科学セミナー/大学院特別講義/基礎医学特別セミナー
                
                
                  演題
                                 アトピー性皮膚炎はどのようにして起こるのか 
                  ―ペリオスチンについての研究の舞台裏をお話します―
                  
                                    
                    演者:出原 賢治 
                    佐賀大学医学部分子生命科学講座分子医化学分野 教授
                    
                    日時:平成24年9月25日(火)16:30〜17:30
                    場所:3114室(臨床小講堂2)
                    
                    
                    要旨
                
                 
                アトピー性皮膚炎は皮膚に発症するアレルギー性の炎症疾患であり、強い掻痒感を伴う湿疹を特徴とします。ステロイド剤や免疫抑制剤が治療の中心となっていますが、副作用の問題もあり、新たな治療薬の開発が待たれています。    
                 最近、私たちの研究室では、細胞外マトリックスタンパク質であるペリオスチンが、アトピー性皮膚炎の慢性化に必須な分子であることを明らかにし、この作用を抑制すれば、アトピー性皮膚炎の治療につながることを発表しました。この発表は図らずも大きな反響を呼ぶ結果となりました。それは、こうした病気に苦しんでいる患者さん達、あるいはその家族の医学研究に対する期待の表れだと言えるでしょう。
 本セミナーでは、1.どうして私たちはペリオスチン、あるいはアトピー性皮膚炎の研究に至ったのか、2.今回の研究成果で何がわかったのか、3.この成果がどのように医学に役立つと考えられるのかについて話したいと思います。通常のセミナーとは異なり、研究者ではなく、学部生を主な対象として、できるだけわかりやすく解説したいと考えています。特別な専門知識は必要とせず、学部1年次、ならびに2年次に学習する細胞生物学、組織学、免疫学の知識があれば理解できる内容にするつもりです。
              参考文献
              Journal of Clinical Investigation, vol. 122, 2590-2600, 2012
                
              セミナーに関する問い合わせ:
                分子生命科学講座 副島英伸 (内線2260)
                病因病態科学講座 戸田修二 (内線2233)