第24回分子生命科学セミナー

演題:本来の遺伝子制御構造ユニットを運ぶヒト人工染色体(HAC)ベクター:遺
伝子/再生医療を目指して

演者:押村 光雄
(鳥取大学大学院医学系研究科機能再生医科学専攻)

日時:平成16年4月26日(月)17:30〜18:30
場所:臨床小講堂2 (3114)

押村教授は,過去20年間に渡り染色体導入及び改変技術を開発・利用することによ り,がん抑制遺伝子・細胞老化遺伝子・テロメレ−ス抑制遺伝子や種々の遺伝子疾患 の原因遺伝子のマッピングおよび遺伝子単離に成功してこられました。最近では,こ の手法を利用してゲノムインプリンティングに関わる遺伝子の単離,制御メカニズム の解明及び新規ヒト人工染色体(HAC)に関する研究を行っておられます。今回は, HACについての最近の研究成果を紹介していただきます。

内容

 動物細胞の遺伝子は本来染色体上にあってまさに必要とされる時に組織特異的に一定量発現し,細胞に機能や分化をもたらしている。この精妙な制御は単にプロモーターのみならず特異的エンハンサー・サイレンサーやすべてのエクソン・イントロン構造 を含む染色体上の発現ユニットが全体として機能し、「正確な発現」を実現している。
  この構造を保ち本来の発現を行う長大な遺伝子構造全体を発現できるベクターは、 従来のcDNAを発現させるベクターには出来ない遺伝子本来の役割を自然な形で発揮させ、遺伝子発現制御研究や将来の遺伝子/再生医療に貢献できると考えられる。
  上記目的に応用可能で最近進展がめざましい染色体工学の技術を用いた遺伝子機能解析や遺伝子/再生医療のため,我々が開発したトップダウン方式を利用したヒト人工染色体ベクターの構築技術の進展を紹介するとともに,その利用法についての将来展望を試みる。

セミナーに関する問い合わせ:分子生命科学 向井常博(内線2260あるいは3301)

 

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