地域医療科学教育センター

 
第18回地域医療科学教育研究センター重点医療研究部門研究会

演題

ITAM関連受容体を介したNF-κB活性化機構と免疫応答の制御

演者:原 博満(分子生命科学講座生体機能制御学分野 講師)
日時:平成19年3月6日(火)17:00〜18:00
場所:研究棟4階2424室


要旨

 リンパ球抗原レセプターは、Immunoreceptor tyrosine-based activation motifs (ITAMs)を有するアダプター分子と会合してシグナルを伝達するという特徴を持つが、NK細胞の活性化型レセプターや、マスト細胞のIgEレセプターも類似した機構でシグナルを伝えることが知られている。また、最近の研究では、マクロファージや樹状細胞に発現する多くのレセプターが、同じくITAMを持つアダプターと会合する、もしくは、それ自身がITAMを有することで細胞に活性化シグナルを伝達することが明らかとなってきている。従って、ITAM関連受容体を介するシグナルは、獲得免疫および自然免疫の両方において重要な役割を演じている。
  MALTリンパ腫に関連する遺伝子産物として見つかったBcl10とMalt1は、直接相互作用して複合体を形成し、この複合体が、近年まで謎であったリンパ球抗原レセプター(TCR/BCR)を介したNF-κB活性化経路に必須のメディエーターであることが最近明らかとなった。我々は、Bcl10と相互作用することで見つかった2つのCARDファミリー分子、CARD9とCARD11(Carma1)の遺伝子欠損マウスを作製し、CARD11はリンパ球系の細胞(T/Bリンパ球、NK細胞)において、CARD9は骨髄系の細胞(マクロファージ、樹状細胞)において、それぞれITAM関連受容体を介するNF-κB活性化に必須のアダプター分子であることを見いだした。本セミナーでは、獲得免疫および自然免疫におけるITAM関連受容体の役割を、CARD9およびCARD11欠損マウスの解析データを元に論じる。



参考文献

1. 1. Hara H, et al.: The molecular adapter Carma1 controls entry of IκB kinase into the central immune synapse. J. Exp. Med. 2004; 200:1167-1177.
2. Hara H, et al.: The MAGUK-family protein CARD11 is essential for lymphocyte activation. Immunity, 2003; 18:763-775.

セミナーに関する問い合わせ:分子生命科学・吉田(内線2290)


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