脂肪摂取と大腸癌

 食生活を中心とする生活習慣が欧米化してきています。欧米的食生活の特徴のひとつに脂肪等のカロリーの高い食事の摂取があげられます。このことで増加してきている疾患が幾つかありますが、一番問題となっているのは、“肥満”、“高脂血症”、“高血圧”、“糖尿病”であり、これらが合併する場合がメタボリック症候群として日本でも深刻な問題となっています。

 日本人は欧米人に比べて、体重が増加することでこのような病気にかかりやすいと考えられており、お腹の周りが男性で85cm、女性で90cmを超えると注意する必要があります。このように脂肪摂取や体重増加と直接結びつく病気だけではなくて、消化器領域で増加している病気があります。そのひとつが大腸がんです。

 大腸がんは近年になって急増している病気であり、多くのヒトの命を奪っています。がんに対する対策としては大きくわけて、1)早期に発見して治療する方法、2)がんにならないように予防する方法、とがあります。

 大腸内視鏡検査の進歩で大腸がんに対して早期発見と早期治療がなされるようになっておりその予後は改善してきていますが、予防という観点からはなかなか対策がとれないのが現状です。

 大腸がんの原因は様々な観点から検討されていますが、十分に解明されたとは言えません。脂肪の過剰摂取と大腸がんは疫学的な調査等から強く関連していると考えられてきました

 今回の医食同源プロジェクトでは、動物モデルを用いてどのような種類の脂肪の過剰摂取が大腸がんと関連しているかと検討したいと思います。動物油、食物油、魚油、等を用いて調べていきたいと思います。