研究課題名 水耕野菜へのデジタルマーキング元素導入によるトレーサビリティの確立
研究者 井上 興一(佐賀大学農学部)
研究計画の概要 最近、食の安全を脅かす事例が多く報告されている。一般の食品には外観上の区別がなく、またJAS法による産地表示の義務化も牛肉の産地偽装にみられるように、ラベルをすり替えられては産地判定は困難である。結局、食品の中身そのものをラベルするのが産地特定に最も確実である。

  この観点から、本研究は野菜に導入可能で人体に安全な無機元素(マーカー元素)を用いたデジタルマーキング法の開発を行う。これらのマーカー元素は、一般の野菜にほとんど含まれない無機元素を対象とし、可食部の導入濃度は数十ppb〜数ppmの範囲を目標とする。産品にマーカー元素の有無等で暗号化したデジタル標識を与え、セキュリティおよびトレーサビリティーを兼備えたマーキングシステムを実現する。
研究実施計画 各地域の葉菜類を取り寄せ、マーカー候補元素のバックグラウンド(天然賦存量)を調べる。上記のマーカー候補元素の中から、葉菜類に微量含まれているかまたはほとんど含まれない無機元素を複数種選択する。

  この選択した無機元素類を微量の範囲で濃度を変え、蔬菜用の栄養成分濃度に調製した水耕培養液に加え、培地中の元素濃度と葉部の含有量との相関をみる。

  この結果から、培地に加えた無機元素濃度と植物体中の当該元素含有量の相関が強い元素を数種類選択し、マーカー元素とする。複数種のマーカー元素を組み合わせ実用的水耕装置で栽培し、葉菜類に含まれる当該無機元素の分析値を統計的に解析し、個々の葉菜類について数十〜数百組のマーカー元素による暗号化したデジタル標識システムを開発する。

トップページへ