研究課題名 機能性脂質の血管機能に対する作用の検討
研究者 野出 孝一(佐賀大学医学部)
平瀬 徹明 (佐賀大学医学部)
研究計画の概要 ω3系多価不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)は抗動脈効果作用を有するが、動脈硬化関連疾患である虚血性心疾患への影響については、未だ不明な点が多く、その機序の解明は、虚血性心疾患治療への有用な情報をもたらすものと期待できる。

 動脈硬化の進展には炎症性サイトカインやアンジオテンシンUを中心とする血管作動性ペプチドホルモンにより惹起される血管炎症が重要な役割を果たしていると考えられており、血管内皮は炎症の主たる場となっている。そこで本研究計画ではまず培養血管内皮細胞においてEPAの抗血管炎症作用を明らかにする。次に動脈硬化モデルマウスにおいてEPAの抗血管炎症作用と動脈硬化抑制作用を検討する。これらの基礎的検討をもとに虚血性心疾患におけるEPAの血管炎症抑制作用の検討へと研究を展開させたいと考える。
研究実施計画 (1)血管炎症に対するEPAの作用に関する検討
培養血管内皮細胞に対する炎症性サイトカイン及び血管作動性ペプチドホルモンによる細胞障害作用、炎症性シグナル活性化に対するEPAの作用とその機序を検討する。これによりEPAの抗血管炎症作用を明らかにする。

(2)マウス動脈硬化モデルに対するEPAの作用に関する検討
高脂血症関連動脈硬化のモデルであるLDL受容体欠損マウスに対してEPAを投与し、糖・脂質プロファイルの解析、動脈硬化病変の病理組織学的解析を行う。

以上からEPAが生体内において動脈硬化抑制作用を有するか否か、血管炎症抑制効果を有するか否かを検討する。

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