研究目的

「医食同源」は「安全で機能的な食生活は健康生活の源である」ということを教えています。

 本研究は、佐賀大学の農学・医学・文化教育学の共同研究により、食と健康の関連性を解明し、「医食同源」の科学的根拠を確立するものです。

 研究成果をもとに、食と健康の地域特性と普遍性を明らかにし、科学的根拠に基づいた食生活・健康生活指導方法の開発を目標としています。

 特に、私たちが研究実績を有している海洋性動植物や農産物を材料とした機能性食材の探索と開発をおこない、食生活改善による生活習慣病とアレルギー疾患に対する新たな予防・治療方法の研究を重点的に進める予定です。


研究の背景

 20世紀における科学技術の発展によりもたらされた物質的豊かさと利便性の追求は、人々に快適な生活をもたらしましたが、一方では不規則な食生活、飽食、簡易食品の過剰摂取、安全性未確認の食品添加物や健康栄養食品の氾濫、食物生産における農薬の不適切な使用など、食生活の乱れや食品安全性に対する不安を招来しています。

 このようなことが原因で、この数十年の間に生活習慣病やアレルギー疾患などが急激に増加し、文明社会においては全死亡の30%が心血管疾患で、また、日本においては人口の30%が何らかのアレルギー疾患を有している、などの状況となっています。

 このことは、国民医療費増加の一因ともなり、健康面からだけでなく、社会的側面からも我々の生活を脅かしつつあります。

 農学や医学などそれぞれの分野における目覚しい研究発展とその成果にもかかわらず、これらの疾患の急増はそれらに対する実際的な予防・治療法が有効に機能していないことを示しています。

 その理由の一つは、これらの学問分野にまたがった学際的取り組みが十分になされていなかったことにあると考えられます。また、研究成果の社会的応用に関する研究と実行が不十分であったためでもあります。

 このような状況を打開するためには、農学・医学および文化教育学関連分野の相互連携による健康長寿社会の構築を目指した「医食同源」の科学的解明とその社会的応用が求められています。

 平成17715日から「食育基本法」が施行されますが、私たちの研究は「基本法」の実践における科学的根拠を提示するものでもあります。

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