アレルギー疾患と食べもの

細菌・ウイルス・寄生虫などヒトの体に感染して病気を起こす病原体を排除するしくみを免疫といいます.アレルギーは免疫が過剰に働いて逆に悪影響を及ぼしたものです.アレルギー疾患といわれるものの代表はじんましん,花粉症,喘息,アトピー性皮膚炎などです.アレルギー疾患では 呼吸困難,鼻汁,くしゃみ,目の痒み,皮膚のぶつぶつといった症状が出現します. これらの症状は体の中の肥満細胞や好酸球という白血球からアレルギー反応によって化学伝達物質とよばれる物質が放出されることにより起こります.


化学伝達物質の中で非常に重要といわれているものにロイコトリエンというものがあります.(このロイコトリエンは1980年の初め頃にスエーデンのサミュエルソンという科学者が発見し,彼はこの発見でノーベル賞を授与されました)ロイコトリエンは,全身の細胞の壁の構成成分となっている脂肪酸を材料にして,体の中にある酸化酵素の働きで作られます.従って,酸化を防ぐ作用(抗酸化作用)を持つ食べ物はアレルギーを予防する可能性があると考えられています.実際にこのような作用を持つ物質を合成して薬として治療にも使われていますが,薬としてではなく,我々が日頃食べている食物中にこのような物質が数多く含まれていることが知られています.この医食同源の研究プロジェクトでは佐賀県の農作物,海産物中に含まれる抗酸化物質(カテキン,ポリフェノールなど)を抽出してこれらの作用やその詳しいメカニズムをしらべアレルギー疾患の予防に役立てたいと考えています.