このレポートに対する講義担当教員(木本雅夫)のコメント

                                   IL8について

                                                   2001089    山本

 サイトカインとは

サイトカインという言葉は、最近では、以前の定義であったリンホカインやモノカインだけでなく、増殖因子、分化誘導因子、様々な抗腫瘍活性を持った物質、一部のホルモンなどまでも含むようになりました。現在、サイトカインの明確な定義はないですが、一応、次のように定義できそうです。

@ 細胞の産生する物質である。

A 蛋白質または糖タンパクである。

B 分子量は数万であり、多くは1050kDaの範囲にある。

C 以下のような生物活性を持つ。

  @)免疫調節作用

  A)ウイルス感染細胞や腫瘍細胞の障害誘導作用

  B)細胞増殖促進あるいは抑制作用

  C)細胞分化誘導作用

サイトカインの特徴

まず、1つのサイトカインが多彩な生物活性をもちます。すなわち、多くの種類の細胞の膜表面上に、そのサイトカインのレセプターが存在しています。第2に、サイトカインを産生する細胞が多様なことです。第3に、あるサイトカインが他のサイトカインの産生を増強したり、抑制したりします。さらに、あるサイトカインが他のサイトカインの生物活性を促進したり抑制したりすることもあります。

サイトカインの種類とインターロイキン

サイトカインの種類には A リンホカイン、モノカイン  B ケモカイン  C コロニー刺激因子  D 造血因子 

E抗ウイルス物質  F 増殖因子  があります。

  サイトカインの中で、当初リンパ球由来の因子はリンホカイン、単球(マクロファージ)由来の因子はモノカインと命名されました。しかし後に同一因子がリンパ球や単球など複数の細胞から産生される場合もあることが明らかになり、1つの分子種により機能が発揮されることが明らかになった因子をインターロイキン(IL)と命名することが提唱されました。

 インターフェロン(IFN)、腫瘍壊死因子(TNF)CSF(コロニー刺激因子)、エリスロポエチン(EPO)などは、ILの基底を満足する因子でありながら、発見者の意思により、ILという名称を用いられていません。

 ILとこれらの因子が別々の群として取り扱われる理由はなく、一括してサイトカインとするのが適当ですが、ILという名称の普及により、特別なグループの扱いを受けているのが現状です。

インターロイキン8について

生体では異物に対する防御反応として免疫・炎症反応が起こります。炎症の初期にはヒスタミン、ブラジキニン、プロスタグランジン類が遊離されますが、同時にインターロイキン (IL)-1を初めとする種々のサイトカインが産生され、これにより多くの炎症性細胞が活性化されます。炎症性細胞の活性化には様々なサイトカインが関与しますが、白血球の炎症部位への遊走・浸潤にはケモカインと称されるサイトカインが関与します。その代表が好中球遊走因子IL-8と単球遊走因子です。

簡潔に言うと、ケモカインの中心物質であるIL8は、好中球の活性化に関与し、特に細菌感染症での防御的役割をはたしています。また、それによる炎症性作用にも関係しています。そこで、今回はヘリコバクターピロリ感染による、胃粘膜の炎症作用について調べてみました。

 

       ★図 1 H.pyloriによる白血球の活性化と活性酸素を介した胃粘膜傷害機序

 胃粘膜上皮細胞はH.pylori感染を受けると好中球遊走作用の強いサイトカインであるインターロイキン(IL-8)を大量に産生
されます。